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5.記憶の混乱
「…早葵の、スマホの解析が進んでいてね。
やっぱりこの世界のものではないらしい」
「最初、俺の画像がたくさん入ってるってことで、かなり性質の悪い嫌疑をかけられそうになったんだけど。
よくよく分析してみたら、早葵がいた世界の人間だと」
「俺も無理いって見せてもらった。
気になって仕方なかった。
本当に似てるんだな。
知らなかったら、俺だって俺だと思ったかもしれない。
早葵が最初、俺を葉山と思い込んだのも無理はない」
見られた…
遼に、葉山君との写真を…
あたしは脱力して遼から目を逸らした。
「ごめんな。見ちゃいけないと思ったんだけど。
公園みたいな芝生の場所で早葵が、葉山の隣で笑ってる写真、めちゃくちゃ可愛くってさ。
なんで隣にいるのが俺じゃないんだって、胸が焦げるようだった」
遼の声に涙が混ざった。
あたしには遼の声がだんだん遠くなっていくように思われた。
代わりにぼんやりした目の前に浮かんできたのは…葉山君と一緒に写真を撮った時の風景。
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