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ようこそ特命係へ プロローグ
~東京~
パトカーのサイレンがけたたましく鳴り響き眠ることない街のひと時の静寂を切り裂いていた。
「至急至急、警視庁から警視135」
一台のパトカーに本部から支給無線が入った
「籠城事件発生。場所は江東区深奥橋1-1、犯人は拳銃を所持、人質一名を取って立てこもっている模様至急現場へ向かてください」
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「人質が刑事なら事態の収拾が最優先だよ」
警視庁刑事部長、雪ノ下陽乃は参事官、城廻めぐりにそう言った。
「人命尊重にこだわらないでね。多少手荒な手段でもいいよ。一刻も早く解決してね」
そういいながら会議室から刑事部長室へと向かった。
一方そのころ現場では
犯人が立てこもっている定食屋の周りを数十台のパトカーとマスコミが取り囲んでいた。
刑事が速やかに出てこいというと男が一人店から出てきた。そして一発発砲。
人質の刑事に拳銃を突きつけ車を要求した。
どうしてこうなったかというとさかのぼる事数時間前~
刑事は晩飯を食べに定食屋へ来ていた。
(秋刀魚がうまそうだな・・・よしっ)
「秋刀魚定食を」
と注文し、ふと奥を見るとどこかで見たことのある顔だった。頭をフル回転させ思い出させる。
指名手配、恐喝・傷害事件犯 阿部貴三郎
(‼指名手配犯の阿部貴三郎…?)
答えが答えだけに一人で動くわけにはいかない。そこで刑事は一度定食屋の外に出て職場である警視庁捜査一課に連絡した。
定食屋に戻り見張っていると阿部と思われる男が店を出ようとした。ここで逃がすわけにはいかない。そう思い
「阿部貴三郎だな…?」
と声をかけた。すると阿部は刑事に襲い掛かりもみ合いになった。
逮捕しようと手錠をかけようとすると
チャカ…
拳銃、トカレフを取り出し刑事に突き付けた。そして今に至る。
阿部は一発発砲しまだかと催促した。
とほぼ同時に刑事の携帯に着信。
「うるせぇぞ…出ろ」
そういうと電話に出させた。
「もしもし?」
「私、生活安全部の雪ノ下よ…」
訳が分からず刑事は
「は?」と答えた。すると雪ノ下はこう続けた
「余計な受け答えはいいわ…今あなたをテレビで見てるの。犯人に代わってくれるかしら…私が気を引くからあなたはその隙を付いて犯人を確保してちょうだい。ちなみに今のあなたの体制で狙える急所は足の甲だけだと思うわ。では代わって」
そういわれ言われるままに動いた。
「なんだよ…」
「あんたにだよ…」
「俺に?」
「車両担当の者が話したいって」
「出れるわけねェだろ!」
「耳に当ててやるから…話せよな」
そういって阿部の耳に電話を当てた刹那電話から大音量で第九が流れてきた。
その隙を付いて言われたように犯人を制圧した。
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その後警視庁では
「人質になるような刑事、めぐりならどうする?」
雪ノ下陽乃は参事官に訊ねた。
「できるだけ手元から遠ざけます。部下の失態でとばっちりを受けるのは私たちですから。」
「所轄に出す?」
「いえやめてもらっても惜しくない人材ですからいっそ…」
「島流し?」
「はい。後顧の憂いをなくすためにも…」
こうして警視庁捜査一課刑事、比企谷八幡は特命係へ左遷させられることとなった。
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