109人が本棚に入れています
本棚に追加
と、その時、2階と3階を繋ぐ階段を駆け上がる足音が聞こえて、その足音は部屋の前でとまる。
勢いよくドアを開けたのは、肩で息をする拓也さんだ。
ぽかんとしながら、「どうしたんですか?」と目を瞬かせる。
拓也さんは無言で私の前まで歩み寄ると、膝を折る。
私を見上げると、手を伸ばし頬に触れた。
長い指が私の頬を擦る。
そこで自分の頬が濡れているのに気がついた。
「あっ……、違、ほんとに私。これはまだ、立ち直ってないとかじゃなくて……っ」
拓也さんが私の隣に座った。
最初のコメントを投稿しよう!