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正直に言えば、ここに帰ってくることが怖かった。
やっと、進むべき道が見え始めたように思っていたのに、この家に帰ってきて過去に触れることで、また途方もない喪失感に襲われるのではないかと思っていた。
やっぱり耐えきれなくて、涙がこぼれた。
でも、ただひとつ違うのは、その涙が喪失感を嘆く涙ではないということ。
胸の奥にはじんわりと暖かいものが広がっていた。
だってここで過ごした日々は、悲しむための記憶ではないから。
私たちの始まりの場所。
私たちの、宝物なのだから。
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