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「誰かとパートナー組んで練習できた?」
「あ、その、えっと・・・」
身を縮めおどおどとする姿に、誰かの影が重なる。
いいや、誰かじゃない。私はよく知っている。
彼女は、私自身を見ているようだった。
「折角のパ・ド・ドゥクラスだし、誰かと組んでみよっか」
「あ、はい・・・」
ぎゅっと腕を握って俯くその背中に、どうしても手を伸ばしたくなった。
ドロフェイが、落ちこぼれだった私に手を差し伸べてくれたように。
ぽんと彼女の背中を押して、「拓也さん!」と名前を呼ぶ。
振り返った拓也さんは、すぐに私たちの元へ駆け寄る。
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