109人が本棚に入れています
本棚に追加
名前を呼ぶと、思わず微笑みが浮かぶ。
『まさかマドカが、後輩を導く立場になるなんてね〜』
ドロフェイがそうやってケラケラと笑っているような気がした。
「千夏ちゃんは、どうして自信が持てないの?」
「・・・私、アブニーラテスト毎年受けてるんです。なのに一度も受からなくて。それに、足もぜんぜん上がらないし、振付を覚えるのも遅くて。色々先生から注意してもらったことあるのに、気をつけようと思うと全然上手く動けなくて」
ああ、本当に自分自身を見ているみたいだ。
こんなにも小さく縮こまって、不安になっていたのか。
でも、でも。
彼女の目はなんて力強いんだろう。
真っ直ぐで濁りひとつない、先を見据えた目だった。
最初のコメントを投稿しよう!