109人が本棚に入れています
本棚に追加
「もし千夏ちゃんが自分を信じることができないなら、私が千夏ちゃんを信じるよ。これでもロシアのバレエ団ではプリマだから、少しは説得力あると思うんだ」
「円ちゃんは凄いです・・・っ!」
ぽろぽろと涙を零した千夏ちゃん。
驚いて、慌てて自分のタオルで涙を拭う。
しかし自分の汗を拭ったタオルだと気がついて、余計に慌ててしまった。
────あれ、しかも今、"円ちゃん"って。
「円ちゃん、どうした。そんなにテンパって」
やっと解放されたのか、拓也さんが少し疲れた顔で歩いてくる。
ぽろぽろ涙をこぼす千夏ちゃんと、慌てふためく私を見て「・・・感動の再会、ではないよな」と困惑気味に言った。
「私が泣かせちゃったんです。ごめんね、言い方悪かったよね? しかも汚いタオルで拭いちゃって。って、そもそも感動の再会ってなんですか?」
「人魚姫で、カニ役やってた子だろ。一幕で一緒に踊ってた」
最初のコメントを投稿しよう!