胸をタンデュして

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カニ役・・・人魚姫・・・。 まどかちゃんっ!そう私の名前呼んで、満面の笑みを見せる女の子の顔がふっと脳裏をよぎる。 一幕のほんの数十秒、手を繋いで踊ったことで私のことをとても慕ってくれた小さな女の子がいた。 「もしかして、ちいちゃん・・・?」 「はいっ・・・!」 涙をふいて笑みを浮かべた千夏ちゃんと、あの時の小さな女の子の笑顔が重なる。 「うそー!?」 そうだ思い出した。 人魚姫が初舞台だという小さな女の子、あの時は確か小学二年生くらいだった。 小鳥遊のスクール部門は年長者が小さい子供たちの面倒をよく見ていた。 だから、楽屋も年齢別に分けたりせず、名前順に割り振られていたりする。 私もちいちゃん・・・千夏ちゃんをよく抱っこしたり、待ち時間にお絵描きをしたりして、遊んであげた記憶がある。
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