ニアの願いごと

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実晴にとってはお見合いを受けてくれただけでもありがたいのに、ニアは実晴のデメリットを全て分かったうえで、好意的に接してくれている。 ニアの言葉1つ1つに、実晴も救われた。 「実晴はたくさん辛い思いをしてきたんでしょう。だから……これからは俺が守るから」 今回のお見合いが上手くいくものではないと覚悟していた。 またいつものようにオメガに生まれてしまった運命を、罵られるのだと思っていた。 ぴんと張りつめていた糸が弛んで、実晴は大粒の涙をぼろぼろと溢した。 「本当に……僕なんかでいいんですか?」 「俺は実晴がいいんだよ」 抑制剤のおかげでクリアになった脳内で、自分を選んでくれたニアとのこれからのことを考える。 不幸だった今までの実晴の人生を、ニアは埋め尽くしてくれるように包み込んでくれた。 ……ーーーー。 未知のウイルスによるパンデミックーー有効な治療法の確立しないウイルス感染によって、世界の人口は半減した。 ネコ科が感染しても重篤化しない特徴のウイルスは、現在もその生態のほとんどが謎のままだ。 パンデミックの終息宣言から50年後、失った人口を取り戻すために、生殖に特化した第2の性が誕生し、人類は急速に繁栄していった。
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