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「ツナ缶のあるレストランじゃなくていいんですか?」
「さすがに人目のあるところではね。実晴は今日は何の気分?」
「無理に合わせようとしなくてもいいですよ。ニアさんの食べたいもので」
「実晴に気遣われるほうが悪いよ。俺、お願いしてもらったことない。そんなに頼りなく見える?」
我が儘を言わない実晴に、ニアは不満げな様子を隠さない。
オメガという立場で我慢ばかりを強いられてきた実晴は、お言葉に甘えるという線引きが苦手だ。
どこからどこまでなら迷惑ではないのかが、全く分からない。
「恥ずかしい話なんですけど僕、あんまり外食はしたことなくて。だから、ニアさんのお勧めのお店に行きたいです」
あくまでも主導権はニアで、自分の希望も交えつつそう言った。
今度はニアも納得したようで、首を縦に振る。
ーー何だか、すごく心臓が煩い……ドキドキして苦しくて……アルファが隣にいるから?
今までのアルファの前では、決してこうはならなかった。
『後は俺と実晴の相性だよ』
オメガの身体構造については、実晴自身もよく知らない。
相性ってどうすればいいとか悪いとか分かるのだろう。
好きな食べ物、好きな趣味……後は、2人ですること、とか……?
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