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ニアの願いごと
アルファとのお見合いは、今日で通算8回目だ。
1つ屋根の下で同棲していた気性の荒いアルファの男に酷く傷つけられて、実晴は実家に逃げ帰った過去がある。
アルファ側の義両親は実晴の主張など聞く耳ももたず、オメガの実晴が一方的に悪いと見なされてしまった。
実晴に戻る意思はないと分かると、婚約解消の慰謝料を請求してきたのだ。
ーーアルファは嫌いだ……オメガの僕のことなんて、性処理の相手としか見てないくせに。
第2の性が判明した日から、実晴の生活は一変した。
もともと裕福な家庭ではなかった実晴は、効果が低いわりに副作用の強い、粗悪で安価な抑制剤しか使えず、心も身体もぼろぼろになっていく。
ーーでも、もう家族に迷惑はかけられない……相手がどんなアルファでも、僕のことを気に入ってもらって番にしてもらわなきゃ……。
実晴には番の相手を選り好みする余地はなかった。
婚約解消の賠償金は膨れ上がり、実晴が一生分働いても到底返せない額になってしまった。
高級料亭の一間を借りきってのお見合いの前は、何度経験しても緊張感が消えない。
女将に案内されている途中で、季節の花が飾られている中庭に視線を奪われるも、母親に手の甲をつねられて窘められる。
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