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一条 紅
「紅、右から二番目の奴だ」
碧が耳元でささやくのを、あたしはあくびをしながら聞いていた。
「緑が下で待ってるから、一発で片付けろよ」
「はいはい」
あたしは怠そうに前髪をかきあげると、屋上のコンクリートの上に這いつくばってライフルを構えた。
「いけるか?」
「もちろん」
右から二番目の男の額に照準を合わせる。
神経を集中して…引金を。
バスッ
あたしが狙った獲物は、大勢の護衛に囲まれたまま倒れた。
「よし、行くぞ」
あたしと碧は何もなかったかのようにライフルを解体すると、それをリュックの中にしまいこんだ。
制服をはたきながらエレベーターに乗る。
「これ、いくらの仕事だっけ」
あたしが小さく問いかけると、碧は指を三本たてた。
悪くない。
一階につくと、緑が眼鏡をかけなおして。
「早かったな」
って笑った。
「さ、学校に行くか」
あたしたちは、ライフルの入ったリュックを背負ったまま。
ゆっくり、学校に向かう。
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