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「あ、結構です」
「即答しないでくんない!?」
即答したくなるのも当たり前。
透子の足を止める為に急いでいたとはいえ、最短距離を突き進んできた渚馬は、その間にあった机や椅子を横に薙ぎ払って突き進んできたのだ。
「どんな理由があっても、こんな事する人の話、聞きたくないです」
「あ? あ、ご、ごめん! すぐ直す! すぐ直すからそんなナイフみたいな目で見ないで!」
渚馬は慌てて机や椅子を、元にあった場所に戻していく。
「わたしとあなたが会話をしなくてはいけないようなことって、なにかありましたか?」
「あるある! あるから待ってたんだって! っていうか、なんで敬語!? 真崎さんって敬語キャラだったっけ?」
敬語キャラってなんなんだ、と思いつつ、ぐっと堪えた。
「ちょっと距離を置いただけです」
「いや、やめて。そういうの……けっこうメンタルやられちゃう」
透子は深く息を吐きだすと、机と椅子の位置を戻してドヤ顔をしている渚馬の目を見る。
決して悪い人ではないのは知っていた。
目立つ人物だけど、それは見た目や明るさのせいで。
授業をさぼったり、妨害することもないし、頭だって悪い方ではない。
しかし、人付き合いを苦手としている透子にとって、誰とでもすぐに仲良くなるような渚馬は異質の存在であり、関わりたいタイプではなかった。
「それで、わたしに何の用ですか?」
「敬語やめてくれたら話す」
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