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「二歳?」
「うん。めっちゃ年離れてるからさ、すんごいかわいいわけ!」
弟の事を話す渚馬の表情から、どれだけ可愛がっているのかは、すぐに察した。
「弟君に頼まれた、とかですか?」
「違う違う違う! そうじゃないんだ。まだそんなの頼めるような年じゃないって!」
小さい子供が身近にいない透子が、二歳ぐらいの子がなにをできるかわかるわけもない。
でも透子はぐっと堪えた。
一々突っかかっていては、話が進まない。
「弟がさ、あ、弟、洸馬っていううんだけどさ、この前手裏剣を折り紙で作ってやったら、めちゃくちゃ喜んでくれたんだ」
「手裏剣?」
「うん。小学生の時忍者のアニメ流行っただろ? 俺、けっこう真剣に忍者になりたかったからさ、あれだけ作れるんだよ、手裏剣」
地域の幼稚園や保育園に折り紙教室のボランティアとして訪れた際、小さな子に手裏剣を毎回リクエストされていた透子。
手裏剣を作って手渡した時の園児の反応を思い出し、思わず口元に笑みが浮かんだ。
(あれは……確かにかわいい)
「弟君をもっと喜ばせたくて、折り鶴を?」
透子の笑顔に驚いていた渚馬は、透子の問いかけに慌てて頷いた。
「でも、鶴って弟君喜ぶんですか?」
「今テレビでやってる戦隊もののリーダーがさ、鶴みたいな形のロボットに乗ってるんだよ。だから絶対喜ぶ!」
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