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 自信たっぷりな渚馬の笑顔に、透子は思わず噴き出した。  こういう表情も、保育園で見たことがあったな、と思い出し。  そんな透子の心中に気づかない渚馬は、透子の表情が明るくなったことにほっとした顔をした。  透子が引き受けると思ったのだろう。  実際のところ、園児と渚馬の笑顔が重なって見えた時から、透子に断る気持ちはなかった。  でも渚馬と深く関わることでいらぬ誤解を受けたくはない。 「あの、真崎さん?」  黙り込んだ透子の顔を、渚馬が不安そうな目で覗き込む。  形の良い綺麗な二重の瞳に見つめられ、透子の頬に一気に熱が集まった。 「ち、近すぎ!」 「あれ? 敬語じゃなくなった!」  あ、と思った時にはもう遅い。  渚馬は人好きのする笑みを浮かべると、透子の両手をぎゅっと強く握りしめる。 「ありがとう! すっげぇ嬉しい」  緊張から変な事を口走らないように、掴まれた両手から目を逸らした透子は、うつむきがちに口を開いた。 「ひとつだけ約束してほしいの」 「約束?」 「教えるのは今から一時間だけ。一時間たっても作れるようにならなかったら、諦めてほしいの」 「一時間……」  そういうと渚馬の瞳が小さく揺れた。  そんなに自信がないのだろうかと、透子が心配そうに見ていると、視線に気づいた渚馬が慌てて目を細めて笑う。 「ごめん、ちょっと自信なかったけど、頑張る!」  一瞬曇った渚馬の表情が気にならなかったわけではないが、透子はなにも聞かなかった。  目の前の人物に、これ以上好意を持たないように。
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