プロローグ

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あるところに、天使の子がいました。 真っ白な肌に、銀糸のような髪、 アメジスト色の瞳を持つ美しい天使です。 その天使の名は、ルルと言いました。 しかし、 ルルの羽は上手く動きませんでした。 飛ぶことも、もちろん宙に浮かぶこともできません。 他の天使たちは、笑っていじめました。 色とりどりの羽が、ルルの周りを舞います。 『能無し天使』『色無し天使』 と笑いながら殴られました。 羽は、才能の色に染まります。 ルルには色がありませんでした。 白でもなく、ただの透明の羽でした。 『周りは色に囲まれているのに、 どうして自分だけ。』 そんな劣等感や嫉妬… いいえ、そんなものではありません。 ただ恨めしかったのです。 色の無い自分が、 そんな自分をいじめてくる他の奴らが。 恨めしくて憎くて、悔しくて仕方がなかったのです。 ある日、ルルはいつものようにいじめられていました。 でもその日は違いました。 ルルの中で何かが切れました。 限界だったのです。 ルルは起き上がると自分の羽を1本抜き、握り締めました。 そしてそのまま1人の天使に飛びかかり…
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