魏武の強

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「我らは攻撃を致しませぬ。 故にこのままお引き頂きたい」 「何っ!? 我らをこのまま無傷で帰すと言うか!?」 郭嘉の言葉に朱桓が驚いていると、朱桓の側に馬を寄せた凌統が言った。 「朱桓殿、このまま無傷で帰すなど虫がよすぎる。 恐らくは我らが退却する最中油断した所を挟撃し、一気に殲滅するつもりであろう」 「う、むむ...」 凌統の言葉も最も。 こうしている間にも先程振り切った顔良、満寵の部隊がこちらに向かっている筈。 死にものぐるいの敵を相手にするよりは、油断した所を突く方が確かに効率は良い上に被害も少ない。 やはり郭嘉の策略ではないか? 朱桓が疑心暗鬼に捕らわれ始めた時、郭嘉は再び口を開いた。
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