3197人が本棚に入れています
本棚に追加
/892ページ
「むうう・・・」
春馬の放った矢を捉えた夏候淵は、喉を鳴らして掴んだ右手でボキリとへし折った。
「夏候淵さん、男子三日会わざれば刮目して見よ、って言うでしょ?」
ニコリと笑みを浮かべて言った春馬に対し、夏候淵は今度は矢を三本番えようとしたが、兵の言葉によって動きを止めた。
「夏候淵将軍!
我が軍は総崩れとなっております!
このままでは全滅も有り得まする!
急ぎ部隊をまとめて退却をお命じ下さい!」
兵の報告に夏候淵は再び喉を鳴らした。
漢王である春馬を討ち取れさえすれば・・・
その思いで春馬と対峙した夏候淵であったが、槍のみならず弓の腕も相当上げている春馬を討ち取るには、自身の全力をかけ、更には部隊も全滅する覚悟を持って当たらなければならない。
そこまでしても春馬を討ち取れる確約は無く、更にはそこまですれば後方の夏候惇も危機に晒される可能性も高く、下手をすれば封丘の砦すら陥落させられてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!