★番外編②上松と東山の文芸部入部

2/10
前へ
/51ページ
次へ
 それは、今から二年前、東山と上松が高校一年生の頃に遡る。 「ヒガシくん! ヒガシくん!」  午後の授業がまもなく始まる昼下がり。上松が、慌てた様子で教室に飛び込み、東山の席まで走り込んできた。比較的おとなしいイメージである上松の、ただならぬ様子にクラスメイトも何事かと視線を向けてくる。 「なんだよ、うるせぇな」 「あ、あのっ、僕と一緒に、文芸部入りませんか!」 ――そのときの上松の顔は、今までに見たことがないくらいにキラキラと輝いていた。 「え、やだよ」 「ひゃふっ!」  即答したことがよほど意外だったのか、上松は、目を見開き、すっとんきょうな声をあげた。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加