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それは、今から二年前、東山と上松が高校一年生の頃に遡る。
「ヒガシくん! ヒガシくん!」
午後の授業がまもなく始まる昼下がり。上松が、慌てた様子で教室に飛び込み、東山の席まで走り込んできた。比較的おとなしいイメージである上松の、ただならぬ様子にクラスメイトも何事かと視線を向けてくる。
「なんだよ、うるせぇな」
「あ、あのっ、僕と一緒に、文芸部入りませんか!」
――そのときの上松の顔は、今までに見たことがないくらいにキラキラと輝いていた。
「え、やだよ」
「ひゃふっ!」
即答したことがよほど意外だったのか、上松は、目を見開き、すっとんきょうな声をあげた。
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