もてなす京都の道祖神

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 災いあれ、うらぶれよ、落ちぶれよと一心に念じるのだ。来る日も来る日も念じ続けるのだ。時はいくらでもある。心を移ろわせず彼の者の頽落のみに専一させるのだ。ほどなくして験は示されてきた。目に精気がなくなり、口はねじくれ今にも悪態をつく準備をするかのように軽く開き、歩みも早くはあるが左右へのふらつきが目立ちだした。  さらにしばらくすると装束や頭髪も乱れがちになった。我が通力はてき面の威力を備えていたのだ。我はまごうことなき神なのだ。
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