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その夜は何してたのかな。バイトを終えて夜も更けて、でも何か過行く一日をせめてもう少し有意義なものにしたくて、そわそわしつつも結局なにもならない夜。
七味をかけた牛丼と小うどんを食べて引き上げる変わり映えしない夜。呼吸のように無意識無感覚に行われ、記憶の欠片にもならずそのくせ人生の多くの容量を占めている無駄時間を過ごしていた。
ただその日は少し違っていた。
京都盆地の蒸し器みたいな夏の夜のことだから、五条通り新町の辺りを自転車でくだっていると、深夜でも濃密に水気を含んだ空気がまといついてきて、汗なのか湿気なのかわからないまま不快で息苦しくペダルを漕いでいた。
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