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五条通りはさすがに街灯や車のヘッドライトで明るいが路地に入るとぽつぽつと暗闇が溜まっている。そのまま空気も淀んでいるかのようで、生ぬるい夜が液化して呼吸のたびに、忍び込んでくるような、ともかくも息苦しい夜だった。
ふと前をみると真っ赤な帽子をかぶった男の子が歩いている。ぼんのくぼがのぞいてて坊主頭みたいだった。そこが街灯の光の角度のせいだろうが蓄光塗料でもぬったように青白く燐光を放っているように見える。黄色いTシャツを着てズボンは半ズボンで緑、ズボンから伸びた足も後頭部と同じく青白い。
小学校低学年ぐらいの子がこんな時間にふらふらと…と心の内で少し驚いた。鈍く無感覚になっていた意識が少し覚醒する。
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