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「このみ、迎えにきたよ。今日は少し遅くなるけど時間大丈夫かな?」
忙しい三津谷くんと珍しくゆっくりできるのが嬉しい。
柔らかい笑顔が大好き。
だけど、やっぱりその笑顔があの女性のものなんだと思うと悲しくなった。
「ちょっと遠出するんだけどいい?」
「うん、でもどこへ?」
「まだ、内緒」
いたずらっ子のような表情をした三津谷くんの隣に座り、そのどこかへと出発した。
高速道路に乗り、北へ向かって一直線に走る。
他愛のない話をしながらも、わたしが心に決めてたのは、今日の別れ際に三津谷くんに告白して恋心に終わりにしようってことだった。
昨夜、泣いて泣いて考えて。
ちゃんと告白してから、
わたしの気持ちをちゃんと伝えてから離れようって思った。
十分に泣いたし覚悟もできた。
一年も三津谷くんの近くにいられたのは奇跡だったんだから。
今まで生きてきた中で一番幸せな時間をもらったんだから。
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