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三津谷くんの運転する車は、やがて高速道路を降りて桜の花びらが舞う道を走ってく。
「……桜がきれい」
「この辺はまだ桜でいっぱいだな」
笑って桜を見上げてるうちに街を抜けて建物が低くなっていく。
いったいどこに行くんだろう?
かなり遠くへ来たような気がする。
「着いたよ」
広い門をくぐると一軒だけ家があって後は果樹園と畑が広がってた。
「じいちゃん、ばあちゃん、連れてきたよ」
広い廊下を歩いて出てきたのは、品の良いおじいちゃんにおばあちゃん。
さあさあ、中へどうぞと手を引かれて奥の間へ。
おじいちゃんと一緒にお茶を飲んで、おばあちゃんが自慢の果樹園を案内してくれた。
見渡す限りのたくさんの山と畑があるんだって話してくれた。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、
「めごいねぇ。また来いへ」
方言はよく聞き取れなかったけど、帰り際にまたおいでと言われたことはわかった。
おじいちゃん、おばあちゃんに手を振って別れて、桜並木の通りで三津谷くんが突然車を停めた。
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