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「同僚の医師にアドバイスをもらったんだ。……受け取れない?」
「三津谷、くん」
三津谷くんに光る指輪とわたしに差し出された指輪。
そうだったんだ。
わたしてっきり……誤解だったの?
そうなの?
三津谷くんを見上げると、
「このみと一緒に歩んでいきたいんだ、これからも」
わたしに触れたその指先と、わたしの指先に指輪がぴったりとはまってキラキラと輝いた。
嬉しくて涙が溢れて止まらない。
もう一緒にいられないんだって思ってた。
三津谷くんが歩む道にわたしがいてもいいなんて今の今まで、そんな奇跡ないと思ってた。
「ねえ、このみ。」
三津谷くんが手をそっと握り柔らかく笑みを溢した。
「……返事は?」
桜の花びらが舞い落ちる。
去年の春にふたり歩いた道と同じようにふたりで見上げた桜。
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