someday.6

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なんであのヒト、声をかけて来たんだろう。 あげはさんのことを薄情だとか言ってたわりには、たぶんぜったい性格を把握してなかったように思えた。 「…なんだったの?」 「うん、たぶんだけど、あのヒトまだあげはさんに未練ある感じ」 そして、隣にいる俺に諦めさせようと企てたけど、俺じゃなくてあげはさんに一蹴された。 何か少しでも、あげはさんが味方してくれると思ってたんだろう、だけど味方も何もなく。 まぁ、結局は何も覚えてなくて、ただ可哀想なだけだったけど。 「別にいいや、元カレだとしても興味ないし」 思い出すこともしないあげはさんは、何もしてないのに疲れたと言わんばかりの深いため息をつく。 あー、うん、たぶんプラネタリウムの余韻が全部飛んで、ちょっと不機嫌になってるっぽい。 「帰ろ」 きっと俺があの男と同じような立場だったら、今あげはさんの隣に立つこともできなかっただろう。 顔を覚えてくれるかどうかもわからない。 あの時の選択がよかったのか悪かったのかはわからないけど。 歩き始めたあげはさんの手を握り、その手の甲にキスをした。 このことがキッカケで何かが変わってくれることを望むけれど、でも変わらないかもしれない。 分岐点で間違わなかったと思ってほしいな。 いつの間にかあげはさんが呼んでいたタクシーに乗り込みながら、そんなことを思っていた。
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