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「今、なんて言った?」
なのに、どうしてそういうことには反応して目が覚めるのかな。
起き上がった雷に腕を掴まれて。
「…これで起きるとは思わなかった」
ハフッと小さくため息をついて、掴まれている腕を見る。
別に強く掴まれてもないから痛くはないけど、離してくれなさそう。
「ホラ、マンガとかであるじゃない?告白とかキスとかで目覚めるヤツが」
「イヤ、あった気もするけど」
「デコピンと迷ったんだけどね」
「え、それは痛いだけだからやめて」
説明を聞いて、やっと腕を離してくれる。
ただ、不貞腐れた表情。
「…いつもより寝起きがいいわね、タヌキ寝入り?」
「ヤ、ホンキで寝てた。途中で目が覚めただけのこと」
「じゃあなんでその時に起きなかったのよ」
「なんか、奮闘してるあげはさんがかわいくて」
わからないし、わかりたくもない、雷の思考。
「でも、だからって告白は…」
「あら、ホントのことかもよ?」
「そう言うってことは、ホンキじゃないね」
「わからないわよ?」
誰もウソだとも冗談だとも言ってない。
「ヒトとしてはスキ、ってことでしょ」
「えぇ、そうよ、それじゃダメなの?」
首を少し傾げて聞きながら、だけどダメだってことはわかってる。
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