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「まぁ…ダメじゃないけど…」
軽くへこんだらしい雷は、両手を握ってくる。
小さいけど、でも深いため息をついたと思ったら、久しぶりの至近距離。
たぶん二~三センチほどのこの距離は、ホントに久しぶりすぎて心臓に悪い気がする。
ここ何ヵ月かは、雷の中でこれより向こうはダメだって測って近寄って来なかったんだろうけど。
……さっきのやっぱり失敗したなぁ。
なんて思っても、過去に戻れるわけじゃないし、言ってしまった言葉の訂正なんかできない。
「あげはさん、俺はホンキでスキだからね」
「んー、ハイハイ」
「流さないで、ちゃんと聞いて」
…どうしたんだろう?
急に真面目な顔して、覗き込んでくる。
こんな真剣な表情とか初めて見たけど、だからと言ってあたしには言わんとしてることを察することはできない。
「この先、何があっても俺のスキなヒトはあげはさんだけだから」
「う、ん…」
久しぶりに告白をしてきて、真剣だからだろうか小さく鼓動が跳ねる。
繋がれている手から、何も伝わらないことを思いながら。
「雷?どうしたの?」
だけど、やっぱりどこかいつもの雷じゃないような。
どこが、とかはわかんないけど、なんだか何かが違う。
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