someday.7

6/9
前へ
/87ページ
次へ
言って、さっきまで雷が寝ていたソファーに押し倒される。 何かを隠したままのあたしと雷。 全部を話すことはしなくても、それでいいと思っていた。 でも、苦しくなる。 …このままでいいと思っていたあの頃に戻りたい。 結婚しても変わらないと思って、高を括っていわゆる高みの見物、状態だった。 だから、周りが少しずつ変わっていくのに、どんどん取り残されていってる感じがして。 「ヤ…待って」 雷の指がゆっくりとあたしの唇をなぞる。 その目は、今まで見たことのない、逃がさないというような獲物を見るみたいな目。 捕らわれる── そんな感じがした。 あたしが今まで優位に立てていたのは、雷がずっと優しかったから、なんだと痛感させられる。 こんな一面もあったんだと思うと同時に、初めて見る雷をどこか怖く感じた。 「全部、俺のモノにする」 言ってる意味はわかるから抵抗して離れなきゃと思うのに、力もそんなに込められてないのに、抗えない。 涙が流れた気がした。 怖いと思う本能の涙。 その涙を拭いながら、だけど雷はどこか妖艶に笑う。 「泣いたってもう遅い」 「ら、い…?」 「キライになってもいいよ、どうせお互い離婚できないことはわかってるんだし」 それは…この間、周さんに話したこと。 聞いて、たの? 「なんで知ってるか、別に不思議ではないよね。あの時、周さんとの会話聞いてただけだし」
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加