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少し聞かれていたことはわかっていた。
でも特に何も言ってこないし、あまり聞かれなかったんだろうと思っていたんだけど…
「自分自身を責めて、不利な方にしか考えないからこんなことになるんだよ」
「だ…って…誰も責めてくれない」
──キミはただの被害者だから、今まで通りできるよね?
「できない…できないよ…」
「……あげはさん?」
──ホラ、みんなキミを待っているから。
「お願い…誰でもいい…あたしを責めて…」
「あげはさん!俺を見て!」
「──……ら、い……?」
あたし…今…?
「昔、何があった?」
何を口走ったかもわからないのに、聞いてくるソレにあのことを言っていたんだと…
もう、ここ何年もフラッシュバックしていなかったのに。
「落ち着いて、深呼吸できる?」
また優しい雷に戻って言われた言葉に、自分の息が乱れていたことに気づいた。
過呼吸とまではいかなくても、ソレに似たようなところまでいっていたらしい。
「落ち着いたら話して」
「この…状態の…ままで…?」
押し倒されていることは変わらず、ただニッコリと笑顔を浮かべるのみ。
別に…逃げないのに、な。
もう夫婦だし、いずれバレることだから、いつ言ったって構わないんだし。
「……火傷がね、あるの」
「火傷?」
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