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この間、あげはさんの過去を聞いた。
ずっと、隠し続けていたことを打ち明けてくれたことは嬉しかったけど。
きっと俺があんなことをしなければ、今でも話してはくれなかっただろう。
よかったのか悪かったのか、わからない。
「え、何見てるの」
「あげはさんの出てた映画」
「それはわかってる。え?なんであるの?」
「そりゃ、買ってきたから」
洗濯物を取り込んで入ってきたあげはさんは、持っていたモノをその場に全部落とす。
何、その動揺の仕方。
「あたしのいない時に見て」
「うん?恥ずかしい?」
「違う…まだちょっと見れない」
…あぁ、この映画がトラウマになったヤツなんだ。
あげはさんの出ている映画は何作かあって、全部買ったんだけど一番初めに見始めたコレが最後の作品だったよう。
「じゃあ、他のヤツは?」
止めてディスクを出しながら、テーブルの上に並べた作品を指さす。
「なんでこんなに」
「全部かわいいよ?」
「あー、そう…」
会話は続かないと思ったんだろう、諦めて洗濯物を拾い出す。
何も言わないってことは、他のは見ても大丈夫なんだ。
でも、スッゴい今見たいけど、あげはさんを見れば小さく手が震えている。
たぶん、これはどれを見てもダメなヤツ。
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