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「んー、と…なんか抱きしめたい、とか?」
「……わかる日が一生来る気がしない」
ヒトが一生懸命考えてるのに、もう放棄したよ。
そして、洗濯物を畳み出す。
「いつかわかるといいね?」
「来なくていいってば」
何度目かのため息をついて、洗濯物を渡してくるその表情はなんだかイヤそう。
まぁ、ヒトに言われてできることでもないし。
今までも、自分から甘えるなんてことはしてないだろう。
甘やかされることには慣れているっぽいし、ソレを無意識に誰かにもしてるから。
ただ、ソレがそうなんだとは気づいていない。
きっと、コレがそうだよって言っても、首を傾げるだけで終わりそう。
「あげはさん、聞こうと思ってたんだけど」
「うん、何?」
「ドレスと白無垢どっちがいい?」
「……月海が式を挙げたからって、あたしはやらないわよ」
めちゃくちゃ真剣に聞いたのに、うんざりした表情で答えてくる。
月海さんの結婚式は先々週のこと。
やっぱり見たいなぁと思って聞いたのに。
「写真だけは?」
「選ぶ過程がめんどくさい。そんなヒマがあるならマンガ読む」
しぶとく食い下がるのに、聞き入れてもらえない。
ここまでくると、もう末期だよ。
「そんなに必要性を感じないのに、なんでやらなきゃいけないの」
「そういう問題じゃなくて、お披露目?みたいな?」
「人前には出たくない」
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