someday.9

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「……んー?」 「部屋に戻りなさいよ」 「……ヤダ」 寝起きの反応が子供すぎる。 わざとか無意識か、さらにギュッとされて。 ホッとする反面、めちゃくちゃ放れたい。 恥ずかしいのと暑いのと。 今の状態は、雷の胸に顔を埋める形になっていて、よくマンガとかで見る状況。 手の行き場がわからない。 あと、息苦しい、コレ。 「雷ってば」 「まだ…」 「寝るのはいいけど放して」 「いや」 なんだか返事が早い。 「起きてるんでしょ」 「起きてない」 「めっちゃ起きてるじゃないの」 いつから起きてたか知らないけど、薄く目を開ける雷はどこか楽しそう。 「もう、コレじゃ何もできない」 見上げるような形で至近距離、睨むように見ればその距離がなくなる。 キスだと頭が追いつくのに少し時間がかかって、追いついた時に離れようともがくけどムリで。 久しぶりのキスに目眩を覚えた。 長いのか短いのかわからない、触れるだけのキス。 「……スキだよ、あげはさん」 ほんの少し離れた雷の口から、こぼれるように言われる言葉。 毎日聞いている言葉なのに、今は何が違うのか胸が締めつけられるくらい嬉しい。 目に涙が浮かんでぼやけるから、もう一度その胸に顔を埋める。 見られたくないわけじゃないけど。 でも、やっぱり恥ずかしくて見られたくない。
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