someday.9

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「え?うん」 軽い力で握られていたから右手を放して、困惑しているような目を向けてくるその頬に触れて。 「ちょうだい?」 「……意味、わかってる?」 お菓子を欲しがる子供のように言ったわけじゃない。 言葉の意味はちゃんとわかってる。 「くれるんじゃないの?」 頬に触れていた手を握られ、手首にキスをしてきて。 たったそれだけのことなのに鼓動が早鐘を打つ。 「……雷をちょうだい?」 精一杯、がんばって言ったのに、目の前でクスクスと笑われる。 ムカつく、笑われると。 「だから、前に言ったじゃん。俺はあげはさんのモノだからスキにしていいって」 「言ったかしら」 「……いいの?」 コツンっと額を当て目を閉じる雷の声は掠れてる。 そんな声は初めて聞いた。 やっぱりまだ知らないことだらけで、だけど知ろうとしなかったのはあたし。 これからはちゃんと知ろう。 「あたしのモノなんでしょ?」 返事代わりのキスは触れるだけだった今までのモノとは全く違って。 慣れていないあたしは、ただただされるがまま。 「……スキよ……」 「やっと、追いついてくれたんだ」 少し離れた時に小さく言えば、笑顔だけど泣きそうな表情。 長く待たせたあたしの中の罪悪感。
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