209人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんね?待たせて」
「あの時…ムリやりにでも俺のモノにしなくてよかった」
「いつ?」
「あげはさんの過去を聞いた時」
あぁ、そんなこともあったなって考えていると、再び重なる唇。
これ以上は何も考えれないし、考えさせてもくれない。
「──っや、待って」
雷の手があたしの服の中に入ってくるのを慌てて止める。
「なんで」
「今日はもうムリ、これ以上は恥ずかしい」
左手で雷の手を押さえ、右腕で自分の顔を隠す。
ムリ、いっぱいいっぱい過ぎて心臓が持たない。
「えー、なんでそんなかわいいことするの」
「イヤ、してないけど」
「あげはさんはいるだけでかわいい」
「どうしよう、どこの病院に行く?」
相変わらず雷は意味不明。
真剣に何科だろうと考えていると、笑い声が聞こえる。
腕をのけて見れば、いつの間にかあたしの上から動いていて。
「あげはさん、俺をスキになって後悔しない?」
隣に座る雷はあたしの髪に触れながら聞いてくる。
「後悔?何かあるの?」
「特になんもないけど、ホラ、俺、とりあえず芸能人だし」
「あたしは元、だけど?」
そんな、後悔とかするようなら、初めからこんな生活してない。
いくら母親に言われたからって、いつでも帰ることはできたんだから。
最初のコメントを投稿しよう!