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「まぁ、あたしはどっちでもいいんだけど、あたしだってわかってるよ?」
わかってるのは頭だけで、気持ちはまだ追いついていない。
すれ違いの生活の中で、そういうことはまだできてなくて。
たぶんソレが、あげはさんを不安にさせてる原因の一つなんだろう。
「そりゃ大事なことだろうけど、すぐじゃないとダメなの?」
「そんなことないよ、周りがなんか言ってくるのはしんどいだろうけど、あげはさんのペースでいいから」
急かされることじゃない。
きっと、こんな風に精神的に落ちてる時は何をやってもうまくいかないし、結果がいい方には転がらないと思う。
「あたしのペースじゃいつになることやら」
「うん、そだね。でも、流されるのはもっとイヤでしょ?」
「そうね、それはイヤ」
でもなぁ…とつぶやくと、そのまま俺に抱きついてくる。
甘えてくるなんて珍しい。
イヤ、これはだいぶ参ってるんだ。
もしかしたらその話、今日が初めてじゃないのかも。
ずっと言われていて、積もりに積もったモノが今日、月海さんに言われて爆発寸前。
「あげはさん、怒りたい?泣きたい?」
「んー…話聞いてくれるだけでいい」
「気が晴れる?」
「話さないよりはマシ」
背中を子供をあやすようにポンポンと叩いて、イヤ、でもコレで合ってるのかな。
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