someday.10

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「あげはさん、たぶんというか確実に主旨変わってるけど、とりあえず本心聞いていい?」 唇が触れるか触れないかの至近距離で、質問されるとは思っていなかったのかキョトンとする。 うん、ヤバい。 押し倒すんじゃなかった。 待てるものじゃないと思うし、だけどあげはさんの気持ちをムシしたくはない。 「…子供、どうしたい?」 「あぁ…そうね、いつかはって思うけど、今じゃなくても…」 テレビの明かりだけでもわかる、泳ぐ視線。 この話題を避けていたかった、そんなとこだろう。 でも、いずれは直面する問題だと思うから。 先延ばしにしたら、たぶんもう聞けない。 「俺は前にも言ったけど、ミニあげはさん見たいから」 「え、あの七夕の子供が産まれた時に言ってたヤツ?」 「そだよ。覚えてたんだ」 「アレ、忘れる方がおかしい」 ヤ、別におかしくないと思う。 なんとも思ってないなら。 「七夕と一緒に楽しそうに話してたじゃない。ぜったい話合いそう」 「うん、俺も思った。じゃなくてね?」 「な、に?」 「いつまでも逃げられないよ」 すぐああやって逃げようとする。 もうクセなんだろうけど、とりあえず自覚してもらわないと。 「別に、逃げてるわけじゃないもん」 もん…とか、何かわいく言ってんの。 今日は何もしないって思ってたけど、コレ理性保てない。 軽くキスをして首元に手を当てれば、動揺してなのか視線を逸らす。 …最近は忘れてたけど、そうだった、このヒト天然悪魔だった。 無意識にする行動は確実に俺を煽ってる。 だから、ホント、そこ自覚して。
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