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二人は揃って「そんなの嘘だぁ」と眉を寄せた。
「そんなバケモノいるわけないじゃん。いたら写真が残ってるはずだよ。オイラなら撮るもん、写真」
オカモンは、ポテトチップスをむさぼりながら疑いの目を向けてきた。タッちゃんは興味を失って寝ころび、スマホをいじりだした。
「あれだろ、ヒロキのひいじいちゃんが書いた小説かなんかだろ」
「ひいじゃちゃんじゃなくて、ひいひいじいちゃんね。この日の日記には、まだ続きがあるんだよ。先の世に凶事再び起こらんこと案じ庄屋が……えーっと、またこんな悪いことが起きたときのために、村長さん家の金庫の中へ、バケモノを閉じ込めましたとさ」
タッちゃんとオカモンは、「えっ」と首をひねりながら同時に後ろを振り向く。
そこには、古びた金庫が鎮座していた。
※ ※ ※
僕の家には古い納屋があった。母屋は十年前にリフォームして新しくなったけど、納屋はおじいちゃんの代から手つかずで、去年の台風みたいなのが再びやってきたら屋根が吹っ飛んでもおかしくないほどのおんぼろ。
近々、物置を兼ねたガレージに建て直そうとお父さんが言い出したので、僕は納屋の整理を買って出た。だってそこには古い本や道具がたくさんあって、まるで骨董品屋のようだったから。もしかしたら、超レアなお宝が眠っているかもしれない。
懐中電灯を片手に、蜘蛛の巣と埃をかき分けて納屋の探索を始めると、壊れた農機具やカビだらけの段ボールの奥の奥に、金庫を見つけた。
黒くて、錆びてて、頑丈そうな鉄の塊。縦横奥行、どれもが六十センチくらい。観音開きの扉に、ダイヤル錠。ハンドルをひねってみたけど開かなかった。
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