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【 15 / 終章 】
早川のおばあさんは大森巡査のパトカーで家に帰ってきたドミナントの無事な姿を見ると心から喜んだ。 次にドミナントの脱走の理由とその対処法を説明されて、もう猫がいなくなる心配が無いと分かると、びっくりしつつも幸せそうに笑って、もう一度喜んでくれた。
終わり
【 おまけ的次回予告 / 帰り道の会話 】
岸上動物医院のおんぼろランドクルーザーが、暗くなり始めた村道をガタゴト走りながら家路へのヘッドライトを控えめに点灯させた。
夜道は危ないから、という理由で美晴ちゃんとプレアデスも後部座席に乗せられているが、現役の警察犬が忠実に同伴してくれる夜道と、ちょっとした荒れ道にもガタつきがちなランクル耐久ドライブだとどちらがより危険なのか …… 判断の微妙なところだ。
「 それにしても、良く真相に気付いたなあ。 まるで、あの猫の通訳みたいだったよ。 美晴はどうしてドミナントの気持ちが分かったんだい?」
岸上先生は手放しで感心し続けていた。
「 そんなに強い理由があったわけじゃないけど …… ただ、ブラシをかけてる時、あの子はプレアデスの名前を聞くたびに少し周りを気にしたの。 なんだか誰かを捜すみたいに …… それで、その理由をちょっと考えてみようと思って 」
美晴ちゃんは伏せをしているプレアデスが車の動きで前へと転がらないように、犬の首を抱きしめている。
「 よし、晩ごはんの時に、二人でママに今日の謎解きを話してあげよう。 きっと初めのうちはすごく不思議がって、最後にはびっくりするに違いないぞ 」
美晴ちゃんは少し思案顔になった。
「 うーん、それはどうかな …… もし今日、ママが集会所で私たちと一緒にいてくれたら、あっと言う間にドミナントのお出かけ理由が分かった気もするの。
だって、プレアデスが今までドミナントを探し当てた時に、いつも必ずその場にいて、一番近くからその様子を見てたのは …… 」
「 …… プレアデスに命令を出して、あの猫を探させていた、ママだ!」
岸上先生が美晴ちゃんの言う意味に気付いて大きな声を出した。
「 確かに、その都度二匹の仲がいい事を目の前で見ていたはずだね。 ママがいてくれてたら即解決だったなあ …… 今日はどこに出掛けてるんだっけ? 朝ごはんの時に大慌てで何か支度をしていたけど 」
「 今日は、街の駅ビルでみんなの春服を買って来るって言ってたよ 」
先生はその言葉が耳に入るや否や、プレアデスが不覚にも「 ばうっ 」と短く吠えてしまったくらいの急なブレーキで車を停めて、それからゆっくりと確認するように聞いた。
「 …… みんなの。……って、言ってたかな?」
「 うん。 お父さんのシャツとかスラックスとか …… ネクタイとか。 凄く張り切ってた 」
岸上先生は奥さんの服選びのセンスに少しの間だけ思いを馳せていたが、すぐ後ろにいるプレアデスにすら届かないくらいの小さな声で一言二言ひとりごとを呟くと、ものすごく慎重に再び車をスタートさせた。
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