運命の人

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運命の人

“運命の人。“ 今までたくさんの恋愛をしてきて本気で好きだと思ったこともあったのに 運命を感じたのはこの人が初めてで、この先もこの人以上に惹かれる人はいないだろうと言いきれる。 “私にとって運命の人。“ この恋愛気質な私が言うんだから間違いない。 出会ったのはセレクトショップの店長を任されてMARK ISみなとみらいに配属されてから半年がたった頃 ちょうど地元飲みで再会した最優良物件といえる先輩との恋が終わったタイミングだった。 Staff Onlyと書かれた従業員扉がガチャっと開く。 半年も働いていたらショップの目の前にある扉が音をたてて開くたびに見てしまうのは癖みたいなもので 当然この時も私は無意識に扉へと目を向けた。 1人のメンズスタッフが正面でもあるこっちを見ながら出てくる。 何気ない意識の中でお互いの目があった瞬間、私は “この人、人間じゃない!神だ!この人は運命の人だ!” って思った。 自分のボキャブラリーのなさにドン引くけどこの言い回しがピンとくる。 大昔の “びびび婚” ではないけれど びびびと感じ、一瞬時間が止まった。 そんな経験は初めてだった。 でも実際、時間は止まらないし人間は神ではない。 この気持ちを言葉にするのであれば ただの一目惚れ。 だけど私にとってはそんな一言では どうにもこうにも片付けられないほど衝撃的な出会いだった。 一瞬で私の心をかっさらい 一瞬で目に焼き付いて離れない彼は ・170センチはなさそう。 ・細身でオシャレというかまぁ普通。 ・アパレルスタッフによくある個性はない。 ・アゴヒゲ。 ・くせ毛風黒髪。 ・顔は童顔。 ・歩く姿はペンギン。 ・雰囲気はレッサーパンダ。 ・見た目から醸し出されるネコ気質。 あとはタバコを吸っていたらもう完璧と言いきれるほどのストライクど真ん中。 彼は間違いなく“私の運命の人。“
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