プロローグ

1/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ

プロローグ

 王宮のある町・エルダードへと続く山中の通路にある、武器や防具を納めた隠し部屋で。気が付くとレーソスたちは、すっかり話しこんでしまっていた。レーソスを始め、エーディンもダクタもみな、「根は男の子」なのである。目の前に並んだ、王家ゆかりの武器や防具を前に、気持ちがはしゃいでしまっていたのだ。  加えて、一時は「助けずに、町を出て行くつもりだった」レーグの町で、結果としてブリギッド王女を始め、町の女性たちを救うことが出来たということも大きかった。これであとは、思い残すことなく、王宮を乗っ取った新勢力の首領・バロールとの戦いに挑むだけである。  それぞれに新しい武器を手にして、3人の「やってやる!」という決意と思いは、一段と高まってきていた。そして……「それにしても」と、レーソスは考えていた。バスヴールの軍勢に追い込まれ、命からがら逃げ延びた、名も知らぬ田舎の村。そこで自分を見つけてくれ、命を救ってくれた若い女性。本当に、彼女と出会えたことは幸運であったな、と。  最初に話をした時には、何か頼りなげで、一緒にいた青年、ケンタの話を聞いているだけのように見えたのだが。いつしか、レーソスが王宮へ戻る旅路に、欠かせぬ存在になっていった。戦い方も知らぬ、ただの「村娘」と旅を共にするというのは、ある意味賭けでもあった。もちろん彼女が一緒にいることで、レーソスが王宮の戦士であることを、カモフラージュ出来るということもあったのだが。  森の中に倒れていた自分を見つけてくれて、新勢力の兵たちとの戦いでも、危ないところを救ってくれた。そんな「幸運」を、手放したくなかった。具体的に、旅の最中に何かの助けになるということよりも、「願掛け」のような意味合いの方が強かったかもしれない。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!