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「ふーん、じゃ、話が早いや。俺は今ね、飢えてんの。ファーストフードでいいから奢ってよ」
「えっ、だって学校」
お兄さんは紫色の目を細める。壁に掛かっている丸い時計を見ているようだ。
「どうせ遅刻なんだろ」
仕方ない。ちょっと怪しいがカッコいいし、飢えている人を助けなければ後で後悔するような気がする。
「じゃあ、そこ、入る?」
セイラは笑顔が売りのハンバーガー屋さんを指差した。
「いや、俺は店の中には入らない。わりいけどテイクアウトで買って来て」
お兄さんは顎で支持する。なんだか偉そうな態度だ。でも年上みたいだし、たててあげるか。
「わかったー、何がいい?」
「俺は肉は食えないんだ。フィッシュバーガーのタルタル抜きにしてくれよ。あと、コーヒー頼む。お前も飲むだろう」
セイラはもう今日は学校は行けないかな、と思った。熱があがってきたようで身体がゾクゾクしてきた。
ハンバーガー屋さんでフィッシュバーガーを2つ買った。もうお昼になるし、お兄さんと食べてもいい。ホットコーヒーのMにミルクと砂糖もさくさん貰う。何処で食べるんだろう。あの階段下で食べるのは目立ちそうだな。せめてベンチに腰かけて食べたい。お兄さんはまたもとに居た床に座って焦点の合わない目を遠くへ向けていた。
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