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それよりも問題は、とても愉しそうな笑顔を浮かべているこの転校生だ。
「あのワールでしょ? 何してんの?」
「ああ、ノートンというのは偽名だよ。君たちの世界は苗字も必要だからね」
最早否定すらしないのか。
「いや、そうじゃなくて……」
「この格好かい? 流石に高校生だからね、少し若そうな見た目に化けてみたよ。制服姿も似合っているとシャリーは絶賛してくれた」
「いや、そうでもなくて……」
「ああ、魔法使いだからね。戸籍くらい簡単に作れるさ」
「そこでもなくて……」
「ん? 隣の席の……成田君だったかな? 彼は少し運命を弄って隣のクラスだったという事にしたよ。大丈夫、彼の人生には何も影響がないようにしているさ」
「ええ……魔法ってすごい……。いや、そのことじゃなくてね」
「そうだ! マナが焼いてくれたクッキー、すごく美味しかったよ。ありがとう。シャリーも絶賛していてね、今度君の家に習いに行きたいそうだ」
「あ、うん。どういたしまして。じゃあ次の休みに……って、そうじゃなくて!」
このマイペースとズレっぷりが少し懐かしくも感じる。
私は一呼吸おいて一番知りたいことを質問する。
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