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こういう関係になってからはまだ数か月でも、叔父姪としては産まれた時から知ってるわけなので、あたしのことはよく分かっている。
「あたし、そんなだった?」
「落ち着いてたな。多少は、親の前だからっていうのもあったんだろうなと今は思うけど」
叔父は笑う。
「少なくとも、ついでにお茶くれなんてキャラじゃなかったな。むしろ、よく手伝ってよく動いてるなって感心してた」
「それはお母さんに言われるから」
「言われるからでも、外から見てる分には気の利くしっかりした娘に育ったなと思ってた。今は、男の前ではそうじゃないって分かったけどな」
「それは、正確に言うと違う。徹さんだから。今まであたしと付き合った人は、そんな風に見てなかったと思うよ。そんなに居ないけど」
「相手によって変わるのは、俺も分かる」
お茶を飲んで空になったグラスを、叔父はキッチンに行って洗って、洗いかごに伏せる。
「万里子さんと居た時は、そんな格好でお風呂から出て来なかった?」
「……どうしてそう思う?」
「なんとなく。万里子さん、そういうだらしないの嫌がりそうだなって。あたしは別に構わないけど」
叔母は、名の知られた化粧品メーカーの広報の仕事をしていて、服装も、ひとことで言えば隙がなく、髪やネイル、お化粧まで、同性から見ても見惚れるような人だった。
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