わたしたちの許されない日常

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 どこから見ても普通の主婦の、あたしの母や上の叔母からは、当然ちょっとやっかみ気味に見られることもあったけど、決して仲が悪くなかったのは、親戚の集まりにはデパ地下の美味しいお菓子やお惣菜を差し入れたりしてくれる万里子さんの社交性に拠るものだったと思う。  そういう面でも、どこを取っても完璧な女性だったから、叔父にとっては自慢の妻でもあり、反面、気を遣って合わせるようなことも多かったんじゃないかと想像している。  叔父はがしがし頭を拭いて、独り言のように呟く。 「そうだな。……理沙と居る時は気抜いてるかもな」 「別にいいよ。あたしも、……他の……あ、でもそれは違うかな」 「何だ」 「他の、同年代の男の子だったら違うかなと思ったけど、でも見栄張って自分偽らなきゃいけないような人なら、今はもう一緒に居られない気がする。大学生そこそこの時とか、もうちょっと若い時なら無理して頑張ったかもしれないけど、今はもう無理。って言ったら徹さんに失礼だけど」 「いいんじゃないか。俺も同じだから」 と叔父は笑って、首にタオルを掛ける。 「でも、大丈夫。徹さん、見苦しくないから」 「何が」 「お腹出てないでしょ。ジム通ってるし」 「体質的には太る方だから、気を付けてるだけだ」  確かに、上の叔父はメタボとしか言い様のない体型で、去年の服が着られないといつも叔母がぼやいているくらいだ。  
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