恐怖の現場

某県 Sトンネル

本場5秒前！

威勢のいいADのスタッフの声が響く。

4！3！

2、1は声を出さず、手の指でトンネルの前に立った眼鏡のおかっぱ頭の男に知らせる。カメラを向けられた男は、スウッ…っと息を吸った

「こんばんは！お笑い芸人のボッチーです！今日から新番組の『恐怖の現場』がスタートします！」

できるだけ明るく元気よく、カメラの前のカンペに書かれた文を読んでいく

「皆さまから寄せられた心霊スポットで霊現象の検証をしていく番組です。そして、私だけではやはり不安ですので2人のメンバーと一緒に検証していきます」

出演者がカメラ袖の左右に立った

「まず1人目は、女優ナンバー1の霊感の持ち主。堀垣 渚さん！」

すらっとしたスタイルで清楚系の美人な女性が笑顔で歩いて男の左側に立った

「皆さんこんばんは。堀垣 渚です」

カメラにニコッと微笑み挨拶した。男と違い、カメラ慣れしている

「そして、もう1人はあの怪談界の重鎮、稲山 潤一さんです！」

白髪の混じった初老のちょび髭を生やした男性が歩いて男の左側に立つ

「はい、皆さんこんばんは〜」

愛嬌のある笑顔で挨拶する