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「影は見えませんが、目の前が少しザワザワって砂嵐みたいにぼやけて見えます。霊がいるときによくなるんです」
「え!?てことは、幽霊がいるってことですか?」
「はっきりとは言い切れませんが、何かいるのは間違いと思います」
驚く英司の問いに渚が答える。すると、潤一は2人をトンネルの入り口の一歩手前まで手招きして呼んだ。2人は、潤一の左右に並んで入り口の手前に立ち再びじっと見た
ビューー!…
すると、気圧の影響かトンネル内から冷たい強い風が吹いてきた。潤一と英司は目を細め、渚のサラサラの髪がなびく。その時だった
ビューー!…
ビューー!…
かえれぇぇぇーーー!
「うわっ!?」
「キャッ!」
「え!?」
3人は同時に声を出して驚き、後ろに逃げるように下がった。風に乗って怨めしそうな声が駆け抜けるように3人の耳に響いた
「な、な、何なんですか今の!?」
流石の英司もびびったのか、あたふたしている。渚は、恐怖で全身がぐっと強張っていた
「今ねえ!今ねえ!音声さんとれてるかな?トンネルから『ビューー!』って風が吹いてきたんだけれども、その風に混じって『かえれぇぇぇーー!』って声が聞こえてきた!3人とも聞いてます!」
カメラに向かって潤一が、驚きと興奮が入り混じったような口調で話した
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