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百谷兄弟の秘密?
「……ん? なんだ?」
百谷一家が引っ越して二週間ほど経った頃の夜。
俺は自室で中間テストに向けて勉強している最中だった。
ふと窓の外が光った気がして目を向けてみると――ぼんやりとした青白い光が、隣の庭から零れているのが見えた。
「バーベキューでもしてるのか? ……アイツがバーベキューってガラか? 似合わねぇ……」
学校で同じクラスになった圭次郎を思い出し、俺は頬を引きつらせる。アイツは高校に行きたくなかったのか、転向初日からムスッとしたまま誰とも馴れ合わず、孤独を貫いている。
登校しただけで全校生徒がざわつくほどの美形な上に高身長で手足も長く、実は海外でモデルしてましたと言っても通りそうなルックス。当初は女子が放っておかずに圭次郎へ群がったが、女子相手でも愛想ゼロ。「用もないのに話しかけるな」と塩対応で、一日も経たずしてクラスの女子たちの心をへし折ってしまい、誰も近づかなくなってしまった。
そんなヤツが、兄弟と仲良くニコニコとバーベキューなんて想像つかない。
ってか今、夜の十時だ。こんな時間にバーベキューはないか。非常識だよな。じゃあ一体何やってんだ?
さすがに気になって、俺は棚に置いておいた小さな双眼鏡を手にすると、隣の庭を見てみる。
覗きは良くないよなあ……とは思ったが、気になってしょうがないし、変なことしてたら困るから、軽く覗くぐらい良いよな? と自分を納得させた。
木々の隙間を縫って隣の庭を覗いてみれば――百谷兄弟が三人揃っているのが見えた。
各々によく見かける洋服とは違う、生地が分厚くて細かい刺繍があちこちに入った衣装。
地面に浮かぶ光は円と模様を刻み、彼らが何かを話していると、髪がふわりと浮かんだりしている。よく見れば前見た時の髪とは色が違う。芦太郎先生は青だし、宗三郎先生は黄緑だし、圭次郎は白っぽい金色の髪。
まさか……コス、プレ?
兄弟三人して、異世界ファンタジー系作品の大ファンなのか?! だとしたら凝ってるだろ……動画撮ってSNSにでも上げる気か?
……あっ! 先生二人が圭次郎にひざまずいた?!
うわあ、スゲー偉そうにふんぞり返ってるな圭次郎。もしかして王子様設定か? 板についてるなあ……うん、違和感なし。活き活きしてる。
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