●驚愕の二択、実質一択

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 本気で泣いてしまいたくて目に涙が溜まっていく。でもコイツの前で無様に泣くのは悔しくて、俺は奥歯を噛み締めて必死に堪えた。 「……だったら、さっさとヤれよ! 俺相手に興奮しておっ勃てて、中に出せるような変態ならな」  精一杯に強がってみせるが、ケイロの余裕は揺らがない。むしろこれぐらい反抗的なほうが楽しいと言いたげだった。 「好きに吠えていろ……どうせすぐに恥じらいもなく悦び出す」  その自信、どこから来てんだよ……怖ぇな……まさか元々男好きで、経験豊富だったりするのか? だからここまで落ち着ていられるのか?  これから何をされるのか考えたくもなくて、俺は頭を真っ白にさせながら身を強張らせる。そんな俺の首元に、ケイロがそっと手を置いた。 「水と火の精霊よ、この身に流れる同胞と踊り、快く昂らせよ……」  言い終わらない内に、首筋に妙な熱が灯る。  チリチリと燃えているタバコの火のように、熱が小さな点で蠢いているような――と思っていたら、それが一気に全身へと広がって俺を弄び出した。 「な、なんだ、コレ……っ……ぁ……体が、痺れ……? なん、か、落ち着かない……?!」 「初めてでも受け入れられるよう、体の感度を上げさせてもらった。痛がる顔を見ながらしてもつまらん。どうせなら、強がりが言えなくなるまで仕込みたいところだな」 「は……? 何気持ち悪いこと言って――はわぁぁ……っ」  いきなりケイロに耳をかじられて、思わず俺の口から変に腑抜けた声が漏れる。  うわ……わわ……なん、か、耳が、ジンジンする……っ、治まらねぇ……ッ。  こそばゆさが消えなくて頭を振るが、自分の前髪やパジャマやシーツが擦れる感触で余計に酷くなる。それが頭の芯やら体の奥底やらに集まって、俺を狂わせようとしてくる。
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