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完全に昼夜逆転。
バンドマン=夜行性。
もれなく俺もそのひとり。
コンビニが大好きな俺は、今日もあの明かりを求めて夜の町に出る。
昼間は賑わっていた町の姿は気配を消し、寂しささえ漂う夜の町の中に存在する明るすぎるコンビニは、俺の心を潤すオアシスだ。
俺は誰とでも喋れて、すぐに仲良くなれることが特技みたいなもので、いつも誰かが周りにいて、寂しさなんて微塵も感じたことがなかった。
そんな俺が暖かい環境から離れ、地元を離れることを決めたのは、高校時代からやっていたバンドが、メンバーの進学や就職で解散することになったから。
プロを目指して活動して来たつもりだったけど、他のメンバーはそれぞれの道を見つけた。
まだ若くて、将来についてなんて考えていなかったから、解散は仕方ないことだった。
でも、俺は夢を諦められなかった。
もともと目立つことが好きで、モテたいとかそういうことより、とにかく音楽がなによりも好きでバンドを始めた。
この赤い髪も、始めは単純に目立ちたかったから。
友達に似合うと言われたことが嬉しくて、今はこだわりの赤髪がトレードマークだ。
俺の母はボイストレーナーで、父がスタジオミュージシャンだから、子供の頃からいろんな楽器に触れて育った。
ありとあらゆる楽器が家に転がっていたから、ギターもベースもピアノもドラムも、遊びの延長で全部出来るようになった。
その中で俺が選んだのはドラム。
なんでドラムかって?
それは、単純に派手で格好いいから。
昔から派手なものへの憧れが強い。
なんでかはわからないけど…
とにかく叩いていて楽しい。
バンドを解散してからは作曲をしたり、一人で演奏してみた動画を撮って、動画サイトにアップしたりして、音楽活動を地道に続けた。
それが結構な再生回数で人気にもなって自信がついた。
音楽で食って行くとか、普通は反対されるけど、俺の親も音楽で生活していることもあり、音楽の道に進むことを反対されることはなかった。
むしろ、俺の才能を親を始め、先生や友達も認めてくれて、みんな応援してくれている。
そんな風に恵まれた環境で育って来たからこそ、地元を離れるのはやはり不安で寂しい。
簡単に帰ることの出来ない距離だからこそ、頑張ろうと思えるのかも知れないけど、無性に人恋しくなることがある。
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